リチャーズ
ミランダ・リー・リチャーズ。
Miranda Lee Richards - Long Goodbye [Official ...
2001年ということは己が大学4年の頃か。たぶん当時まだ熊本にあったタワーレコードで試聴したんじゃないかと思う。
彼女は確かモデルもやっていて、容姿もうりなのかアルバムにこぶりのポスターもついていたように記憶している。イケてないときのジム・モリソンに見えることもあれば、品のよい顔立ちの美女にも見えた。
ストーンズが好きな女の子。当時確か25、6。インタビューで確か、「リチャーズという姓だと、レコ屋でキースの近くに並ぶから素敵」というようなことを言っていたように記憶している。ストーンズの「ダンデライオン」もカバーしていた。ヒッピー世代か、そうでなくてもその残滓があったころに青春を送った親を持つ世代。サイケの子。
この曲に出会ったのも、もうやがて15年くらい前になるらしいや。
物欲2015上期
馬場勝文の急須。本体の質感に加えて、把手も素敵。
Brooksのヘリテージシリーズ。ニューバランスのビンテージよりは幾分安いし、目下の王道からあえて外す選択としてもよいと思う。
ビームスのチノ。この歳(35)でビームスというのも気恥ずかしいかもしれない。ただ、立ち・しゃがみの多い仕事でも重宝される機能性と、なりのこざっぱりした感じは使い勝手がよさそう。
デロンギのコンベクションオーブン。料理の時短、簡素化のためにオーブンがほしい。これは機能・デザインともによさそう。
JBLのGo。リチウム電池駆動でBluetooth対応。Bluetoothのスピーカーは既に持ってはいるものの、この簡便性と、雑な使い方を許す手軽さがマル。
リーデルのウィスキーグラス。バカラほど一般認知もなく、価格も抑えめながら、その筋では評判が高い。これで飲んだら一層よい気分になれる気がする。
Teacのポータブルアンプ。本格オーディオに血道をあげるモチベーションも財力もないので、サイズも価格もこぢんまりとしつつ、機嫌良く音を鳴らせる道具がほしいと思う。これはたぶんそのニーズに合う。
Zucaのスポーツ。外見はビジネスの格好にはあまり合わないだろうな。かといってプロが落ち着いたなりかというと、それでもなおカジュアル。サイズと用途からいってふさわしい感じ。
空白
しょうむない人生論のようなものになりますけれども、最近つくづく感じることを。
現代は、という一般化が性急なら、現代に生きる己は、つくづく「空白」がない。通勤途中の車の中でも、家でも、ランニング途中でも音楽を聴いている。あるいはぽっどキャストを。インターネット環境は、快適さはおいてほぼ整っていて、何かといえばアクセスして、ほとんど病気。厳密に診断を求めれば、依存症の類だと思う。
きっかけは人間ドックに行って、眼圧が正常値より高いと言われたことだった。眼圧が高いのを放置していれば緑内障が進行して、視力や視野に障りが出てくる。理由はいろいろ考えられて、ひとつはストレス。それから単純に、目を酷使する度合いが多分人より圧倒的に高い。
あるいはまた、今年度の仕事の目配りのたいへんさも、冒頭のことを思わせる契機になったかもしれない。部署の長になって、目を配る範囲が増えた。自分で抱えて自分で解決すればよかったこれまでと変わって、人に頼まねばならぬことや、育成の意味などをこめてあえて頼んで、成り行きを見守ることも。また、上司との付き合い方も。
加えて、抱える諸課題もわりとまだ正解のないものが多く、勢い考えることが必要になる。
これらの状況の中で、情報にたえず囲まれていることは決してよろしくない。精神衛生や健康の面で、また、仕事の生産効率の面で。己はもっと早めに問うてみるべきだった。そんなに情報にコミットする必然性が、果たしてあるのか、と。
食べ物を食べても、うまげなものがあればすぐに写真に撮る。インスタで加工してSNSでシェア。いいねがあればほくそ笑むというが先立って、どんな味かを長く覚えていない。あるいはその日その時、何を食べたのかを思い出すのも難しいことに気付く。
たとえば通勤の途中の音楽を断って見る。その日しなければならない物事の順序が整理される。やるべきことで忘れていたことを思い出す(そう、このところ己は、思い出すということをしていなかった!)。仕事で立案をする時に、PCから離れて、広い目のノートにアウトラインを書きだして見る。先行事例の収集に血道を上げるよりも、実際的でシンプルなアイデアは、案外自分の頭の中に漂っている。それをつかむ作業のためには、情報の中からざばっと上がって、陸で考える間が必要である。
書は余白で決まるとかいうらしい。音楽もスイングのためには空白が。読書もまた然り。トレーニングだって休息が大きな成長を促す。こう考えると、もう一歩進めて、自分が何も生産していないような惨めに思える時間だって、ロングスパンで見れば大切なことかもしれない。
ともあれ時間的に空間的に、物量に圧倒されない隙間が己には必要だと思う。
テーマソングは解散が決まったSAKEROCKの"MUDA"。蓋しこうやって何かしら意義ある終わり方を求める限り、まだまだ空白を生かすには遠いね君。何とはなしに終わってもいいではないか。
アイドルソング万歳
古今東西を問わず、アイドルソングにはしばしばその制作や演奏に凄腕が絡んでいることがある。一聴してにやりと思わせるような仕掛けから、知る人ぞ知る小道具まで多彩。その妙をどれだけ知っているのかわからない歌い手・演じ手がまっすぐに表現をする。もちろんこれは皮肉ではない。時に屈折、時にベストマッチと具体的な現象を変えながら、いずれにせよ面白いものを生み出している。それがなんとも楽しい。そういうことである。
今回は乏しい知識と経験の中から、抜群に楽しいアイドルソングを4つ。
Negicco。どうしても目に名前が飛び込んできた時に、「ねじっこ」と読んでしまう。零細のねじ工場出身のアイドルか。
作詞作曲は彼女らのこれまでの曲で馴染みのconnieさんという方がなすっているらしい。編曲が田島貴男。もともとの詞曲の出来栄えもあろうが、アレンジが素敵。
「TENSHI TO AKUMA」(Angel and Demon) - YouTube
Twinklestars?というユニット。さくら学院というグループの派生らしい。さくら学院といえばすっかり話題のBabymetalもここからなんだそうな。そしてwikipediaで確認したところ、Babymetalのメンバーのうち2名がTwinlestarsと重複している?顔と名前が一致しないし、そのへんはどうでもいいや。
この曲は一聴してわかるように、the Whoの"My Generation"を下敷きにしている。プロデュースしたのは沖井礼二。元シンバルズ。ピート・タウンゼントとリッケンバッカーのベースギターを愛するとのこと。言われてみればシンバルズのサウンドにも通じるような。原曲に忠実というよりは、たとえば後年Oasisがカバーしたような感じに近い。
については語るべき情報をあまり持たない。ある面最後に採りあげる一曲と同じく、自分が物心ついた頃にまだ残滓があったような、上の世代を夢中にさせたダンスミュージックを想起させる感じがいい。インスト音源ほしいもの。
アレンジは松井寛。同じベクトルではMisiaの初期代表曲のプロデュースで有名。あとはアイドル、声優と手広く扱っているらしい。いつぞやラジオ番組にゲストで登場した時は、ダンスミュージックへの造詣の深さが窺えた。
Tomato n' Pine ワナダンス! (ラジオ音源) - YouTube
最後の曲は、残念ながら解散してしまったトマパイ。agehaspringsがバックアップした彼女たちの曲は、曲のコンセプトごとに当該ジャンルの往年のファンがにやりとするようなネタが鏤められているとか。この曲については下記を参照。
1stアルバム・リリース記念 トマパイ5週連続企画第5弾 agehasprings玉井健二が語る、トマパイの作り方 - CDJournal.com CDJ PUSH
冒頭のNegicco以外はいずれも3~4年くらい前のものばかりではあるが、以上が今回採りあげる4曲である。
ゴーンガール
日本では2014年後半に公開の映画。地方はややそれに遅れて、己の場合は観るのがそこから遅れて、2015年1本目の映画となりました。
妻の突然の失踪、という筋の一部を耳にして、「なんだか『ねじまき鳥クロニクル』みたいなだな」と思ったのはあながち間違いではありませんでした。話によれば、原作では冒頭で妻が『ねじまき鳥クロニクル』を読むシーンがあるといいます。
実際に作品を観ると、『ねじまき鳥クロニクル』を頭の少なくとも隅にくらいは置いた話だなあということがわかります。ごく基本的なところでは、
1 妻の突然の失踪(これはまあ影響とは呼べませんが)
2 長年生活を共にしていても、お互いにとって測り知れない「空白」があるということ。それは記憶についてであり、理解についてであり、共有することのできた時間についてでもあります。
3 個人のイメージや二人の関係性というミニマルなものが、意外なまでにそこで完結せず、拡がりを見せるということ。
といったものが挙げられます。
特に3についていえば、大筋では共通点といえますが、『ねじまき鳥クロニクル』とは基本的には大きく異なるところです。『ねじまき鳥クロニクル』が歴史の縦糸も含んで様々な要因に作中人物が翻弄されるのに対し、『ゴーンガール』は近隣の人からマスメディアに至るまで、複合的な手段を意図的に利用してみせる。そしておそらくは後者の特性こそが、この話の大きな魅力なのだと思います。
毎度のことながら、「映画の感想」(音楽や撮影手法、効果、演出への言及を含めたものではないのがしょぼくれたところですが、面白い作品には違いありません。
トレント・レズナーの監督からのニーズをまるで無視した音楽(デイヴィッド・フィンチャーはリラックスした音楽にしてほしいと言ったとかw)も効果的でしたし、多くのところで語られた、ロザムンド・パイクの変化(へんげ)と狂気に満ちた演技も素晴らしかった。
観ても決してハッピーにはなれません。しかし体験の印象深さを思えば、観て損のない映画だと思います。
ふりかえり(映画)
昨年観た映画は以下。昨年公開のものに限らない。
http://
順位付けは面倒なので、わずかな本数の中から特に印象深かったものを羅列すると、次のような感じになる。
フランシス・ハ
海を感じる時
アクト・オブ・キリング
her 世界でひとつの彼女
ヒックとドラゴン
もっと映画観たいな。