読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

終戦記念日に

 たぶんに誤解を招く場面ではあると思う。それぞれの立場に立てば、かなりの確率で。でも戦争というものの苦味が、これほど詰まった場面はあまりない。

「あれはやむをえなかったのだ」ラムファードはドレスデン爆撃のことを話題にした。
「わかっています」と、ビリーはいった。
「それが戦争なんだ」
「わかっています。別に文句をいいたいわけではないのです」
「地上は地獄だったろう」
「地獄でした」
「あれをしなければならなかった男たちをあわれんでくれ」
「あわれんでいます」
「地上にいるあんたは複雑な気持ちだったろう」
「いいんです」と、ビリーはいった。「何であろうといいんです。人間はみんな自分のすることをしなければならないのですから。わたしはトラルファマドール星でそれを学びました」


カート・ヴォネガットスローターハウス5