JT

つづれおり

つづれおり

 

 

 キャロル・キングやこのアルバムのことが主な話題というわけではないのだけれど、一応画像を。

  今回採り上げるのは、後年このアルバムに寄せられた、盟友ジェイムズ・テイラーによる文章。

 

 どう説明したらいいだろう?出し抜けにシーンに登場したたブルックリン生まれの女の子。「ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー」「ナチュラル・ウーマン」「アップ・オン・ザ・ルーフ」「アイル・ドゥ・マイ・クライング・イン・ザ・レイン」・・・曲作りの名人、ブリル・ビルディングのプロ、ポピュラー・ミュージックの発明、どのケースにもふさわしい歌の創作、とぎれることのないテーラーメードのヒット曲。大変にわかりやすく、極く私的な表現、シンプルでエレガントなまったく新しい構築物。

 クーチが僕らを引き合わせたのは1969年、彼女が自作の曲をみずから歌いはじめたころだった(業界の人々は彼女のデモを長年秘蔵していた)。僕らは一緒にレコーディングし、一緒にツアーし、ひとつのバンドをともに率い、行動をともにした。彼女は僕に唯一のナンバーワン・シングルをもたらした。

 それはローレル・キャニオンでのすばらしい日々だった。ジョニ、ジャクソン、CSNY、イーグルスキャロル・キング・・・・非凡な才能がひしめいていた。レコード産業は利益を二の次にし、善意で音楽を提供していた。最高だった。僕らは笑い、泣き、生きて、死んだ。

 さあ、耳を傾けよう。

 

 『つづれおり』というアルバムを、どの季節に位置づけるのが一番ふさわしいのか己は知らない。ただ、たとえば人との別れのある今みたいな春先や、しばらく経って暑さがやわらいだ折に別れた人々のことをふと思い出す秋なんかに合うと己は勝手に思っている。

 そしてこのアルバムの曲たちと一緒に、JTが寄せた上掲の文章も思い出すのだった。訳文だけれど、彼の心持ちがよく伝わってくる。